北京や上海などの都市部から離れた農村部で暮らす中国の人々は旧態以前と同じ生活を送っているようです。

何年か前に中国の映画を観た際に、衝撃のシーンを目の当たりにしたことがありました。記憶が正しければレスリー・チャン主演の覇王別姫だった思うのですが、記憶違いでしたらスミマセン。衝撃のシーンというのは、中国農村部における結婚だったかお葬式だったか、人が人として生きるにあたり恐らく重きをおくだろうと思われるシーンのことでした。
私は中国語を教えてくれた恩師から、最初に一つの大切な言葉を習いました。それは「hai you sheng yu」です。これは人を招いた時に「まだお料理は沢山ありますよ〜」と言う意味の言葉なのですが裏の意味があり「yu」と言うのは「余」であり尚且つ「魚」でもあるのです。(同じ読みだから)

ですので宴の最後あたりに「魚」が出てきたら「まだまだありますよ〜(実はもうこれで終わりですよ〜)」という意味なのだと習いました。その後の人生において食事に招かれて「魚」が出てきたことは一度もありません。大抵食べ切れないほどの前菜と肉料理にギブアップしてしまいます。
その映画では、「まだまだあります=もうこれでおしまいですよ」の意味の魚が、お葬式だか結婚式の冒頭に供されました。しかもそれは本当の魚ではなく木彫りの魚だったのです。中国の貧しい人たちいわゆる農民戸籍しか持たず、農業に従事するか保障のない出稼ぎにならざるを得ない人々は、人生の節目とも言える大切なシーンにも集まってくれた人々に木彫りの料理しか提供することが出来ないのでした。